歯をキック?!「君」が「私」の時もある?!

さて、今回の表現は、


kicked it right in the teeth

これはBravoのインタビューでジョンが使った表現。まず全文を見てみましょう。

When you have a record like "Slippery When Wet", and it's followed up by a record like "New Jersey", and then, that's followed up with an enormous solo record of "Blaze of Glory", I thought, "Welcome to the 90s, man. How are you gonna beat this 1, 2, 3. you know, you can't"........You could. Kurt Cobain came along and kicked it right in the teeth.

今回の文はちょっと長いのでかみ砕いて行きましょうネ。まず、When you have a record like "Slippery When Wet" ですが、When you have a recordは直訳すると、「レコードを持った時」ですが、この場合のWhenは「時」と訳すよりも、「場合」と考えた方がいいかも。で、like "Slippery When Wet" ですが、ここに出てくる「like」はこの場合、「好き」という意味ではなく、「〜のような」という意味です。つまり「スリッパリーのような」という意味。第1回目に「As I said before」「前にも言ったように」という表現を取り上げましたが、この「as」を「like」に置き換えて、「like I said」ということもできます。で、この場合はつまり、「『スリッパリー』のようなレコードを出した場合」という意味です。

ここで主語が「you」なことに疑問を感じませんか?ジョンは自分の経験のことを話しているのに、なぜ主語が「私」じゃなくて、「あなた」なのか?例え話をして相手にも自分の立場になって話を聞いてもらいたい場合、誰にでも当てはまるような、共感を持ってもらえるような話をする場合、相手を説得したい場合、英語では主語を「あなた」にして話す傾向があります。ジョンもインタビューの半分はyouを主語にして話してるんじゃないかと思うくらいとても頻繁に使います。逆に共感を与えられる話なのに主語を「I」にすると、「君は違うかもしれないけど、私はこうなんだ」という、人との違いを強調してるような印象を与えてしまったりすることも。インタビューを聴く時はこの点を念頭に置いて聴くといいかもしれません。

で、「follow up」は「後に続く、引き続いて〜する」という意味。ジョンは「it(この場合、スリッパリーを指してます)」を主語にして、あんま文法用語は使いたくないんだけど、説明のためにあえて使うと、受け身の「be動詞+過去分詞」を使って、It is followed up by a record like "New Jersey". 「それ(スリッパリー)はニュージャージーのようなレコードに後に続かれる」という言い方をしています。ここまでを自然な日本語に訳すと、「『スリッパリー』のようなレコードを出して、『ニュージャージー』のようなレコードがそれに続いて」となります。

「and then」は「そしてさらに」。「enormous」は「大きい、巨大な、莫大な」。なので、And then, that's followed up with an enormous solo record of "Blaze of Glory".はもうわかりますね?「さらにビッグなソロレコードの『ブレイズ・オブ・グローリー』がそれに続いて」になります。

「thought」は「think」の過去・過去分詞形。ここで主語が「私」に戻ってます。結構ごっちゃにして使ってたりするんだよね(笑)Welcome to the 90s, man. は「やぁ、90年代へようこそ」。ここの「man」は「男」という意味ではなく、単なる呼びかけの「おい、なぁ、やぁ」とかそんな意味。本来性別 は関係ありません。女の子がよく、Oh, boy! とか言うんだけど、これも別に男の子に話しかけてるわけじゃなくて、「あ〜もう!」とかそんな程度の意味です。

How are you gonna beat this 1, 2, 3. ですが、「gonna」は未来を表す「going to」を短縮した口語表現なので、ちゃんと書くと、How are you going to beat this 1, 2, 3. となります。「この1、2、3をどうやって打ち負かすつもりだ?」つまり、スリッパリー、ニュージャージー、ブレイズ・オブ・グローリーのたて続けのビッグヒットというこの3つの快挙を君はどうやって打ち負かす?できねぇだろ?という挑戦的なことを言ってるわけですね。ここの「you」は上に書いたような意味ではなくて、本来の意味の、「自分以外の誰か」という意味の「you」です。

You could. Kurt Cobain came along and kicked it right in the teeth. カート・コバーンというのはニルヴァーナのメンバー。「come along」で「現れる、登場する」。で、teeth「歯」という表現が出てくるけど「キックされて歯が折れた」とかやったらブブー。「right in the teeth」 で「真正面 から」とか、「まともに」という意味なので、Kurt Cobain kicked it right in the teeth は「カート・コバーンがまともにそれをキックした」つまり、ジョンにしてみれば「まともに一発お見舞いされた」って感じでしょうか。ちなみに kicked it の「it」はこの場合、BJが打ち立てた快挙のことを言っているから、正確にはジョンの顔に一撃食らったわけではなくて、その快挙がガツンとやられた、ということになります。というわけで、意味としてはこんなふうになるかな。

「『スリッパリー』のようなレコードを作って、『ニュージャージー』のようなレコードがそれに続いて、さらに『ブレイズ・オブ・グローリー』みたいなビッグなソロまで作ると、『90年代にようこそ、さぁ、この1、2、3をどうやって打ち負かす?できねえだろ?』て思ってしまうんだ。・・・できたんだよ。カート・コバーンが出て来てまともに一撃食らったのさ」

では、次回の講義でまたお会いしましょう!See you soon!

第1回 (体験入学) 歌詞を掘り下げよう 第2回 歯をキック?!
第3回 叶わぬ 願い 第4回 信じる・・・
第5回 PRT interview 第6回 当たって砕けてファファファファ
第7回 TWO STORY TOWN裏話 第8回 WYSIWYG

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